27年間にわたりゴルフボールの設計に携わってきたディーン・スネルが、使いやすいボールとは何かについて語ります。
アイアンショットやアプローチの飛距離がばらつく……。 それは打ち方ではなく、使っているボールが原因なのかもしれません。
—– 以下にこの動画の日本語訳を記述します。
今回は使いやすいゴルフボールとは何かについて考えてみます。
私はスピン性能がゴルフボールの使いやすさを規定すると考えています。
糸巻バラタボールはドライバーのスピン量が4000 rpm(回転/分)ありました。
ちょっとミスすると、4000 rpmもあるため、 大きくフックしたりスライスしたりします。
ドライバーのコントロールが非常に難しいボールでした。
常にボールをクラブの芯で捉えることができるようなボールがあればよいのですが、そんなことは不可能です。
ですから、我々設計者はドライバーのスピン量をできるだけ少なくしました。
ドライバーはスピン量が少なければ、精度が増します。フックやスライスが少なくなり、スピン量の多いボールと比べてより易しいボールとなります。
さて、ドライバーからアプローチまで全体的にスピン量の少ない2ピースボールについて考えてみます。
フェアウェイでもラフでも、ボールの状況はどちらでも構いませんが、2ピースボールに対して最もよく聞かれる意見があります。
そもそも、2ピースボールを使うツアー選手が 皆無なのはなぜでしょうか?
理由は、アイアンショットの飛距離がばらつくからです。 2ピースボールはフェース面を上に滑ってスピンがかからずボールが高く上がります。ですから、飛んだり飛ばなかったりします。
同じ打ち方をしても150yだったり160yだったりと ばらつくためにツアー選手は使わないのです。
一方、柔らかいカバーのボールはフェースに喰いつき、低く打ち出されます。
低く打ち出されたスピンの効いたボールはコントロールしやすい。
だから、ツアー選手はウレタンカバーのボールを使うのです。 特にショートゲームでの性能を重視しているからです。
そういう訳で、ゴルフボールの使いやすさは スピン量によって規定されます。易しいボールを使いたいと考えるならば、ツアーボールを使うべきでしょう。理由はドライバーのスピン量が少なく、グリーンを狙うショットのスピン量をコントロールしやすいからです。
もちろん、ビギナーならば2ピースで十分です。
どのクラブでもボールが高く上がります。
9番アイアンで正確に152yを打ちたいわけではなく、9番でグリーンの方に行けばよい。そんなプレースタイルの方には2ピースでOKです。
2ピースにも、複層構造のツアーボールにも存在価値があります。 2ピースはスコアは気にせず仲間と楽しみたい人に適しています。 球は上がりますし打感はソフトです。 常に上達を目指し、良いスコアで回りたい人にはツアーボールです。 そんなゴルファーが求める易しさの幅は少し狭いものでしょう。