さて、ゴルフボールの話に戻ります。
ブリジストン、スリクソン、キャロウェイなどはTPU(熱可塑性ウレタン)をカバーに使っています。
これは、押出し鋳込射出成形の固形ペレットを使っています。
ウレタンの固形ペレットを型に入れて、熱を加えながら射出成形します。
だいたい、50秒で8個のボールを作ることができます。
もし不具合が出れば、塗装を剥がし、TPUを溶かして作り直すことができます。
熱で溶かすことができるからです。
また、一般論としてカバーは厚めです。
これが、熱可塑性ウレタン(TPU)です。
一方の TSU(熱硬化性ウレタン)は、液体です。
AとB、2種類の液体を混ぜ合わせて30秒から60秒待つと、固まって、元には戻りません。
化学的に結合するために、溶かすことができません。
不具合が出ると、スクラップです。
そうした問題があり、お金もかかります。
液体のTSUを入れた鋳型にコアを乗せ、TSUを入れた別の鋳型を上からかぶせてボールの形にします。この部分が「キャスト」という工程です。
いろんな工程を経ると、ボール一個を作るのに20分かかります。
TPUは50秒で8個作れますが、TSUでは20分で1個しか作れません。
しかし、TSUのキャストウレタンはカバーを非常に薄くできますし、
耐久性はTPUとは比較になりません。
TSUキャストウレタンは柔らかくすればするほど、耐久性が上がりますが、
TPUでは柔らかくすればするほど、耐久性が落ちてしまいます。
現在この技術でゴルフボールを作っているのは、タイトリスト、テーラーメイド、スネルゴルフがあります。