Q19 – ディーン・スネルインタビュー:Sand Trap誌

2017年5月22日にアメリカのオンラインゴルフマガジン”The Sand Trap”にディーン・スネルのインタビューが掲載されました。
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ここでは、インタビューのうち、ボールの技術に関するQAを抜粋し、翻訳したものを日本の皆様にお届けします。
———–以下、日本語訳

1)ツアーボールって、どれくらい違うんですか?

ディーン:ツアーボールの一番の違いはショートゲームのスピンと操作性です。たとえば、もしミドルアイアンやショートアイアンでスピンをコントロールができれば、アゲンストの風に向かって打つ時に吹き上がりを防ぐことができます。また、グリーンの近くでは、薄いウレタンカバーがアプローチのスピンとコントロール性能を高めてくれます。

2)商品数が少ないのは賢いやり方だと思いますが、たった2つの製品で何割のゴルファーの期待に応えられると考えていますか。例えばブリジストンのB330は4モデルありますが、スネルのウレタンボールは1つだけです。

ディーン:おそらく2つか3つあれば全てのゴルファーの期待に応えられると思います。ツアー選手はボールの細かい違いを感じることができます。このボールはスピンが少ないとか多いとか、硬いとか軟らかいとか。ですから、ツアー選手向けには最低でも2種類は必要でしょう。
一般ゴルファーに目を向けると、低コンプレッションで低スピンの2ピースボールを好むゴルファー向けのモデルを増やすのはあまり意味がないと思います。また、ヘッドスピード別にボールを選ぶべきと主張するメーカーもありますが、私は不必要にモデルを増やし、ゴルファーに無意味な情報を与えて混乱させるのはよくないと考えています。

3)ブリジストンは(おそらくキャロウェイも)ヘッドスピードが47m/s以下のゴルファー向けのツアーボールを販売しています。ツアーボールを特定のヘッドスピードのゴルファー向けに設計することはできますか?それとも、ヘッドスピード別のボールは単なるマーケティング上の話ですか?

ディーン:個人的には、「ヘッドスピード別にボールを選ぶべき説」は、最も過大評価されている話だと捉えています。ヘッドスピードが遅い人でもコアがしっかりつぶれるように、低コンプレッションのボールを使うべきだとゴルファーに教えているメーカーもあります(実際はどんなにヘッドスピードが遅いゴルファーでも、ドライバーショットはコアまでしっかり潰れます)。問題は、低コンプレッションのボールは、スピンが効かないことです。このメーカーの主張に従ったゴルファーは、グリーン周りなど最もスピン性能が必要な場面で全く性能の出ないボールでプレーすることを強いられます。

4)ボール業界では4ピースボールが人気があります。スネルも4ピースボールを販売する予定はありますか。

ディーン:もう少し待って下さい(笑)。現在数種類のプロトタイプをテストしています。性能要件がはっきりすれば、その要求に応えるために層を加えます。層を加えることで特定の性能要求に応えることができるからです。

5)ボールに層を加えるとどれくらいコストが上がりますか?

ディーン:1層加えるごとにコストが増えますが、性能が追加されます。私が5層構造のペンタ(Taylormade PENTA)を開発した時には、ツアー選手からの明確な要求がありました。ですから私はいつもゴルファーに、ゴルフボールは100ヤード以内でテストしてくださいとアドバイスしています。ショートゲームが最もボールの性能の差が出るところだからです。

6)市場のトレンドは柔らかいゴルフボールですが、あなたもそれに追従していきますか。

ディーン:2ピースのゲットサム(GET SUM)は非常に低コンプレッションで、フィーリングのソフトなボールです。ツアーボールが軟らかくなりすぎていることによる問題は、芯で捕らえた良いショットのしっかりしたフィーリングが失われてしまうことです。トップレベルのプレーヤーは、柔らかいとスピンが増えたと感じてしまうんです。ですから、そのあたりのバランスが設計上非常に難しいと言えます。

7)なぜマーケットは軟らかいボールを求めるのでしょうか。

ディーン:軟らかいゴルフボールがマーケットに好まれるのは、低スピンのボールのほうが距離が出るからです。今日では、軟らかいボールは低スピンを意味しますが、かつての糸巻き全盛時代は軟らかいボールと言えばスピン量が多いと相場が決まっていました。

8)既にゴルファーがフルショット、ショートゲーム、パッティングのそれぞれがどう重要かを理解していると仮定した場合でも、ボールのフィッティングはグリーン上、ショートゲーム、フルショット、ドライバーの順番で行うべきと考えますか?

ディーン:全くその通りです。100ヤード以内でしっかり時間を使ってボールを試すべきです。ボールの性能の違いがはっきり表れるのは、この部分です。もし100ヤード以内で試して違いを感じなければ、一番安いボールを買うのがベストです。

9)本当にスコアに直結するクラブは何だと思いますか?ドライバーとアイアンショットでのボールの違いが重要だという意見が正しいとすると。

ディーン:その可能性はありません。ドライバーショットに基づいてボールを選ぶのは間違いです。ドライバーを打った後も、そのボールでホールアウトしなければなりません。一番多く打つのはグリーン周りです。ですから、グリーン周りの性能に基づいてボールを選ぶべきなのです。現在お店に並んでいるボールのドライバーの飛距離はほぼ同じです。

10)ゴルフボールにIT技術が適用されることはありますか?たとえば、近々センサーが埋め込まれるとか。

ディーン:何年か前にこのコンセプトを試したことがあります。問題はルール違反になることです。USGAは特定の人だけがメリットを受ける技術を取り入れることを認めていないからです。もう一つの問題は、ボールの値段が極端に高くになってしまうことです。1個当たり500円かかるとすると、1ダースあたり6000円余計にかかることになります。その上、コントローラーも買ってとなると、とんでもない値段になります。さらに、すべてのゴルファーがその機械を持っていない限りはプレーのスピードアップにつながりません。ですから、かなり難しいことだと私は思います。

以上